基本プロフィール:エイ=イ一家組長と、ツェリードニヒとの関係
モレナ=プルードは、『ハンターハンター』の暗黒大陸編(カキン帝国の王位継承戦・船内編)に登場します。

カキン帝国の3大マフィア組織の一角「エイ=イ一家」の組長であり、第4王子ツェリードニヒの庇護下で《ブラックホエール号》に乗船しています。王族の血筋に連なる「二線者」と呼ばれる存在ですが、のちに明かされる出自には大きな秘密があります。本人は「世界などどうでもいい」と嘯き、ただただ「このクソのような世界を破壊する」ことだけを目的として暗躍する危険人物です。
モレナは暗黒大陸行きの船において、彼女は当初302号室に潜伏し、忠実な構成員たち22名と行動を共にしていました。元々モレナはエイ=イ一家の若手構成員に過ぎませんでしたが、3年前にクーデター同然にファミリーのトップに成り上がった経緯があります。組長の地位を継ぐ際、モレナは「名前を継ぐ儀式」を利用して組織を掌握し、自らの「殺せ」という命令に従ってくれた仲間たちに深い感謝を示しました。
エイ=イ一家は第4王子ツェリードニヒの後ろ盾を得てブラックホエール号に乗り込みましたが、船内でモレナが引き起こした凶行により、ツェリードニヒは早々に彼女との関係を断ち切ったようです。実際、王子はモレナの所在確認の電話を受けても「好きにしていい、時間があるときになんとかする」と冷淡に答え、王国兵に彼女のアジト捜索を命じています。
ツェリードニヒ自身もモレナを危険視しており、「最近ボスに就任した彼女を警戒している」様子が伺えます.

念能力『恋のエチュード(サイキンオセン)』
モレナが使う念能力は『恋のエチュード(サイキンオセン)』という特質系の能力で、極めて異質な感染型能力となっています。モレナは唾液によってキスした相手を感染させ、自らの子供にすることができます。彼女は物語冒頭で忠誠を誓った部下にキスし、全員を念能力のプレイヤーとして感染させました。感染した者たちは「レベル1」からスタートし、他者を殺害することでポイント=レベルを獲得していくというレベル制の殺人ゲームに参加させられるのです。
レベルの上昇条件は標的の価値によって異なり、モレナが予めその点数”設定しています。具体的には:
- 一般人を殺せば1レベル上昇(民間人=1点)
- 念能力者なら10レベル上昇(能力者=10点)
- 王族(王子)なら50レベル上昇(王子=50点)
このポイント配分はモレナ自身が公言しており、文字通り王族殺しにインセンティブを与える悪質なルールとなっています。感染者が殺人を重ねレベルを上げるごとにオーラ量も増大し、一定のレベルに達すると新たな能力の発現まで促されます。レベル20に到達した者は念能力を会得し、特殊な能力に目覚めます。このように、モレナは自分の子供たちを殺人によって急速に成長させることで強力な駒に変え、船内に混乱を広げているのです。
さらに恐ろしいのは、この感染能力がピラミッドスキーム(ねずみ講)的な拡散構造を持つ点です。モレナは自分を「メンバーゼロ」すなわち親として位置づけ、直下に22人までの子供を持てます。そして彼女の子たちも、規定のレベルに達すると新たな感染者(孫世代)を増やすことが可能になるのです。具体的にはレベル100に到達した感染者は、モレナと同じ「メンバーゼロ」の資格を得て、自ら最大22人の子供を感染させる権利を得ます。このため放っておけば雪だるま式に感染者が増殖しうる危険な仕組みであり、まさに細菌汚染(サイキンオセン)の名が示すように、殺戮が殺戮を呼ぶ最悪の連鎖を生み出す戦略的意味を持っています。
モレナはは「子供」一人一人の望みや資質を聞き出し、能力開発を手助けすると語っており、実際に部下たちはモレナのお膳立てで次々と異能に目覚めています。例えば、パデイルは自らの手を刃物に変える能力を与えられ「殺戮の快感を味わう」という願望を叶えられました。
出自と過去:謝肉祭と「肉」としての扱い
モレナの過去はカキン王国の闇深い風習と結びついています。彼女は王族の謝肉祭の中で生み出された子供でした。謝肉祭は、数年に一度ひそかに開催される王族の猟奇的な宴です。選ばれた一つの村が舞台となり、村人たちはその場で「もてなす者」と「その他」に分けられます。王族に対して無礼を働けば即処刑されるという不敬罪の論理が振りかざされ、村人たちは逃げられないまま王族たちの慰み者にされてしまうのです。避妊や中絶すら王族の子孫繁栄への反逆と見做されるため禁じられ、結果としてこの宴では王族やその側近による大量の性虐待が行われ、多くの望まれぬ妊娠が発生します。
モレナの母親もその謝肉祭で複数の王族に数日間ものあいだ強制的にもてなす役を押し付けられました。母親は休みなく蹂躙され続け、自身が妊娠・出産したことすら自覚できないほど追い詰められ、モレナが2歳の頃についに死んでしまいます。生まれた子供たちはすべて顔に二本線の傷(=二線)を刻まれて祭孤児として扱われました。モレナも額から左頬にかけて二本並んだ傷痕を持っており、これが彼女の社会的身分を示す烙印です。生後すぐ、孤児たちはカキン裏社会の人身売買組織へ引き渡されます。その施設は表向き孤児院ですが、裏ではエイ=イ一家が経営する闇病院と繋がっており、出産後の母親たちの後処理(証拠隠滅)も行っていました。
施設に送られた孤児たちは検査を受け、王族の血を引く可能性の高い子は「二線者」として一応待遇され、そうでない子は「肉」とレッテルを貼られます。モレナは検査の結果後者の「肉」に分類されました。つまり王族ですらない純粋な被害児童とみなされたのです。彼女は約20年ものあいだこの施設で「肉」として扱われ、具体的な描写は避けられていますが、おそらく奴隷同然の過酷な生活を強いられてきました。しかしその長い地獄の日々の中で、モレナは自分の内に念能力が宿っていることに気づき、密かに磨きをかけていきます。この能力こそ、後にカキンを滅ぼす野望を抱くきっかけとなった彼女の切り札でした。
現在のモレナは本物ではなく、偽物
第408話で、モレナはボークセンに「二線者は本物のモレナ=プルードのもの。でも今あなたと話している私は王族ですらない」と明かしました。つまり現在エイ=イ一家を率いているモレナは本物の「モレナ=プルード」とは別人であり、本物のモレナはすでに死んで墓の中だというのです。
以上のことから、本物のモレナ=プルードとは元々カキン国王の非嫡出子(二線者)として存在を許されていた人物であり、現在のモレナはその身分を乗っ取った偽物だということがわかります。
船内での主な行動と影響力
ブラックホエール号の船内で、モレナ=プルードは自らの念能力を駆使しながら大規模な殺戮を展開しています。乗船直後、彼女は忠実な部下22名に能力を授けると「行っておいで」と殺戮の開始を命じました。以来、エイ=イ一家の構成員たちは船内各所で連続殺人事件を引き起こしています。こうした猟奇的な事件の裏で糸を引いているのがモレナの一派であり、他のマフィア組織も被害を受けています。実際、他のマフィアでは構成員に死者や行方不明者が相次ぎ、幹部たちは「下層で暗躍するヒットマン(=エイ=イの刺客)を放置すれば全面戦争になる」と警戒を強めました。
カキン裏社会では、本来マフィア間での殺し合いは事前連絡と事後交渉によって抑制する不文律がありました。しかしモレナはそれを完全に無視して殺人ゲームを始めてしまったため、他組織は「モレナが自分の縄張り(3層)にいながら無断で抗争を始めた場合、もはや全面戦争は不可避」と判断します。この事態に対し、他のマフィアは一致団結してエイ=イ一家を潰す方針を固めました。第1層にいるマフィア首領陣も、エイ=イの暴走に業を煮やし「まずモレナを始末するべきだ」との結論に至ります。若頭ヒンリギはボスから直接「ヒソカ捜索のついでにモレナを殺せ」と命令を受け、部下のリンチやザクロと共に第3層へ討伐に向かいました。
一方、幻影旅団もモレナの騒動に巻き込まれる形で関与しています。旅団はあくまでヒソカ捜索が目的でしたが、第5層でエイ=イのヒットマン(ルイーニ)の罠に遭遇したことで事態が動きました。ルイーニは旅団への憧れから接触してきましたが、フェイタンたちに一蹴されて逃亡します。その後、旅団はシャ=ア一家と協力関係を結び、ヒソカ探索の見返りにヒットマン退治を引き受けるという取引をしています。ノブナガとフィンクスは「ヒットマンごとモレナも消してやるから、第4層への立ち入りを許せ」と提案し、マフィア側も同意しました。
こうしてモレナの起こした殺戮は、カキンマフィア全体を巻き込んだ抗争へと発展しました。乗客の安全を守るべき王国軍さえ事態を把握できずに翻弄され、治安は急速に悪化しています。ツェリードニヒも護衛に命じてモレナのアジト捜索を進めさせています。とはいえモレナ自身はずっと姿を隠したままで、未だ直接対決の場には現れていません。
最後に
モレナ=プルードは、暗黒大陸編における最重要人物の一人であり、その存在は物語に大きな混沌をもたらしています。
王位継承戦の裏側で展開する殺人ゲーム、王族への復讐劇、マフィア同士の抗争、それら全ての中心に彼女がいます。今後の展開でも目が離せないキャラクターと言えるでしょう。
暗黒大陸編のあらすじと解説記事
